Erik
(更新)
2019年ももうすぐ終わり。また一年を振り返る季節になりました。
先日、年末の風物詩とも言える流行語大賞が発表され、大賞には「ONE TEAM」が選ばれました。また、JCJK流行語大賞のコトバ部門では「ぴえん」が1位を獲得。
DMM英会話ブログでは、今年も英語版流行語大賞とも言える "Word of the Year" に加え、2019年に流行った最新スラングもご紹介していきます。
英語でも流行語大賞に似た "Word of the Year" というものが存在します。
辞書サイトなどのメディアによって、その年を象徴する言葉や流行った言葉、多く検索された言葉などが選定されます。
それでは早速、今年選ばれたワード・オブ・ザ・イヤーをその理由とともに見ていきましょう。
オックスフォード英語辞典が今年選んだのは "climate emergency" という言葉。
日本語に訳すと「気候緊急事態」となります。意味は「気候変動を減らす、または止めるために緊急な対策が必要な状況」、「気候変動がもたらす取り返しのつかない事態を避けるために緊急な対策が必要な状況」です。
今年、特に話題になった環境問題に関する表現です。海外メディアでは従来の "climate change(気候変動)" では事態の深刻さを正確に表せないとして、記事に使われる言葉遣いを変える動きも見られました。
イギリスのコリンズ英語辞典のワード・オブ・ザ・イヤーは "climate strike"。
こちらは日本語で「気候ストライキ」と訳せます。またもや環境問題に関する言葉がランクインする形になりました。
「ストライキ」という言葉は聞いたことがあるかもしれません。労働者や学生などが何かしらの要求のために、集団的に仕事や授業を放棄することを指します。
"climate strike" は気候変動の危機を訴え、行動を促す運動です。今年の9月には、世界中で400万人以上が参加したデモが行われました。
この運動を始めたのはスウェーデンの環境活動家である、16歳のグレタ・トゥーベンリさん。ノーベル平和賞にもノミネートされ、タイム詩の2019年「今年の人」に選ばれました。
ケンブリッジ英英辞典は "upcycling" を選定。
「リサイクル」の進化版とも言えるこちらの単語は「ゴミや使わなくなったもので新しい製品などを作ること」を意味します。
"climate emergency"、 "climate strike" に続いて、今年どれだけ気候変動クライシスが世界中で主要な話題だったかがわかります。
オンライン辞書サイトのディクショナリードットコム(Dictionary.com)が選んだ言葉は "existential"。
「存在に関する」という意味のこちらの単語もまた環境問題、さらには銃暴力の話題で幅広く使われました。
先のグレタ・トゥーンベリさんも気候変動を "existential emergency(存在に関する緊急事態)" と表現しました。「人類の未来がかかっている」というニュアンスです。
英語辞典メリアム=ウェブスターの今年の言葉は "they"。
多くの人が「彼ら」という意味で知っている単語かと思いますが、今年注目された意味は「ノンバイナリーの人を表す単数形の代名詞」です。
「ノンバイナリー」とは、男・女の既存の性別に当てはまらない人を指す言葉です。つまり、従来の "he(彼)" や "she(彼女)" の代わりに "they" が使われるということになります。
今年多くのノンバイナリーの著名人が話題になり、三人称単数としての "they" を好むと公言しました。
ここからはもう少しライトに、今年特に流行したスラングをご紹介します。
ミレニアル世代(Millenials/1981年〜1996年生まれ)、そしてZ世代(Generation Z/1997年生まれ〜)が多用する最新の英語表現、みなさんはいくつ知っていますか?
*スラングは国や地域によって異なり、また若い年代層が使うことが多いです。全ての人に通じる言葉ではないということをご了承ください。
直訳では「気分」という意味の "mood" ですが、スラングでは "same(私も、同じく)" のようなニュアンスで使われます。
つまり、何かに共感したときに使う表現です。「私もそんな気分」、「今こんな気持ち」だと考えるとわかりやすいかもしれません。
何かしらの画像や動画と一緒に使われることが多いです。例えば、寒い日にインスタを見ていて、布団に暖かそうにくるまって顔だけ出している猫ちゃんの写真があったとします。そんなときに使えるのが一言、 "mood"。
Mood pic.twitter.com/PfUqkpZZOo
— iamcardib (@iamcardib) 2019年12月9日
いまこんな気持ち。
「過度に熱狂的なファン」という名詞、もしくは「熱狂的に推す」という動詞の意味を持つ言葉。
アメリカの歌手エミネム(Eminem)の Stan という曲のミュージックビデオが由来とされ、PVではスタン(Stan)という名の熱狂的なファンのストーリーが描かれています。
他には "stalker(ストーカー)" と "fan(ファン)" の造語とも言われています。
These DANCE MOVES! We stan so hard! @OfficialMonstaX #JingleBash #monbebe pic.twitter.com/wqSnt5pFkv
— RADIO.COM (@Radiodotcom) 2019年12月8日
このダンス!激推し!
"bro(brother)" の別バージョンである "bruh"。
様々な場面で使える便利な表現です。スラング専門のオンライン辞書 Urban Dictionary の人気の定義には「誰かが阿呆らしいことを言ったときに使う言葉」、「『マジで』の同義語」、「何に対しても使える完璧な返し」があります。
友人などの親しい人を "bruh" と呼ぶこともできますし、驚きや呆れ、悲しみや感動など様々な感情を表すこともできます。
Skills, bruh...💪🎳💥 pic.twitter.com/r6FMCyb5eA
— Rex Chapman🏇🏼 (@RexChapman) 2019年12月11日
この技術、凄すぎぃ……。
直訳するともちろん「お茶」ですが、スラングでは「ゴシップネタ」の意味で使われます。
"spill the tea"=直訳「お茶をこぼす」=意味「ゴシップネタを暴露する」といった使われ方が多いです。
知り合いに関する噂話、有名人のスキャンダルなど様々な場面で使用可能。新情報を初めて公開するような際にもOK。
There are so many tweets I want to tweet...BUT I CAN’T!!!! But you best believe one day I really will spill the tea ☕️ 👀
— Amsi | CATCH ME AT THE TOP OUT NOW! 🌌 (@thisisamsi) 2019年12月6日
ツイートしたいことがたくさんありすぎる……。でもツイートできない!!!信じてて、いつか本当にこの秘密を公開するから。
この "boomer" とは "baby boomer" を略したもので、ベビーブーム世代のことです。一般的に1946年〜1964年生まれの人を指します。
ミレニアル世代とZ世代の間で流行しているフレーズで、年上の人から時代遅れで古い価値観を押し付けられたときに言う返しです。
「最近の若者は…、私が若かった頃は…」に代表される説教くさいことや、見下すような発言をされても皮肉を込めて "OK boomer" と一言であしらい、軽く受け流すのです。
そのような話題、そして若者の意見を理解しようとしない姿勢にうんざりしていて、「ハイハイ、そうですか」といったニュアンスがあります。
大手ニュースメディアにも取り上げられ、「年齢主義の差別的なフレーズだ」と怒り出すブーマーも現れました。しかし、ライトなジョークをジョークとして受け取れないこと自体が、また若者世代を呆れさせてしまっています。それこそ "OK boomer" と言わんばかりに。
Ok Boomer pic.twitter.com/0sVmZw6RSQ
— Saint Hoax (@SaintHoax) 2019年12月12日
トランプ(米大統領):グレタ、落ち着け!
グレタ(環境活動家):はいはい、わかったよ。
2019年だけでなく、2010年代を色濃く表す言葉たちをご紹介してきました。
行動を起こせるタイムリミットがすぐそこまで迫っていると言われるようになった、気候変動問題にまつわるフレーズが今年は数多くランクイン。流行語だけでなく、若者のスラングにもその影響が見て取れます。
言葉はその時代を表し、日々刻々と変わっていきます。2020年代はどのような言葉が流行するのでしょうか。